気づけば、流行りの音楽が誰の曲かもわからないし、新しい言葉を耳にしても「それ、どういう意味?」と検索する日々。
若い頃は「自分は絶対にそうはならない!」と思っていたのに、いざ大人になったら、当時不思議に思っていた“ついていけない大人”そのものになっている。
でも、これって自分だけじゃないですよね?
今回は、「なぜ、大人になると世の中のスピードについていけなくなるのか」を、探ってみたいと思います。
大人が流行から遠ざかる理由
大人が世の中のスピードについていけないのはなぜなのか? 心理や社会的な背景を掘り下げてみると、意外な理由が見えてきます。
1. 脳の「情報処理」モードが変わるから
脳科学的に、人間は10代~20代にかけて、新しい情報を受け入れる能力がピークに達すると言われています。
この時期の脳は、新しい音楽、新しい服、新しい言葉などの未知の情報をどんどん吸収し、「自分はこんな人だ!」と社会での自分の立ち位置を確立しようとするのです。
一方、年齢を重ねると、脳は「効率モード」に切り替わり始めます。
新しいものを覚えるよりも、過去の経験や知識を使って判断する方が自然で効率的なのです。
「もう自分探し終わったでしょ?これからはラクしよう!」というモード。
その結果、「これ、何だろう?」と思う場面が少なくなり、新しいトレンドへの関心が薄れていくというわけです。
2. 時間の使い方が変わるから
若い頃は、時間がたっぷりありました。
友人とおしゃべりしたり、ショッピングに出かけたり、雑誌を読んだり、テレビを見たり、流行の音楽をチェックしたり・・・そんな時間もたくさんありましたよね。
でも、大人になるとどうでしょう?
仕事に家事に、休日はちょっとのんびりしたいし…。流行を追いかけるために時間を使うより、家族のことや趣味などにエネルギーを注ぎたくなります。
こうして「流行を追うこと」よりも「今、必要なこと」に時間を割くのが当たり前になっていくのです。
3. 自分のスタイルが完成するから
若い頃は、「みんながいい」というものが安心でした。同じブランド、同じ曲、同じ流行語を共有することで、仲間意識を感じたり。
でも、年齢を重ねるとどうでしょう?
「自分に似合うもの」「自分が心地よいもの」が自然と大切になります。
流行の服を着るよりも、まず自分に似合うと思うスタイルに安心感を覚えるのです。
自分の好きなものがわかってくると、「トレンド」という外部の基準に振り回されなくなる。
これが、流行に疎くなったように見える大人たちの理由の一つです。
4. 流行の“サイクル”を知ってしまうから
長い人生経験を通じて、流行が巡ってくる現象を目の当たりにするようになります。
例えば、「90年代風ファッションが流行!」と聞いても、「ああ、当時こういうの着てた!」と懐かしくなるだけで、もう新鮮には感じられませんよね。
新しさへの感動が薄れることも、流行に対する熱量を下げる要因なのかもしれません。
「知らない」ことも悪くない
大人になると、「知らない」ことに対する恥ずかしさが薄れてきます。
また、「それ教えて!」と素直に聞けるようになるのも、大人ならではの強み。
若い世代から新しいことを教わることで、世代間の交流が生まれることもありますよね。
新しい着こなしを取り入れてみたり、新しい音楽をちょっとだけ聴いてみたりすると、不思議とワクワクが戻ってきます。
「知らない」という状態は、学びのチャンス!
もちろん、全部を知る必要なんてありません!
世の中のスピードに追いつけなくても、ちょっと遅れたっていいんです!
トレンドに少しだけ触れて、必要なことだけキャッチアップして、「今」を楽しむ。
それが大人たちができる、一番素敵な関わり方かもしれません